秘境の三ッ星レストラン
3年ぶりにフランス旅行
楽しいラ・サンマリテリーヌ
Queenstownクイーンズタウン New Zealandニュージーランド
今やNew Zealandはコロナを封じ込めた女性首相、ラグビー最強オールブラックスの華麗なトライと勇壮なダンス、美味しいキウイフルーツ、ニューワールドを代表する高品質ワインなどでお馴染みだが、1974年の春に初めてJTBが組んだお試しパッケージに我々が参加するまではハネムーンで訪れた日本人カップルは皆無だったに違いない。舌を出して叫ぶマオリの人々から親愛の挨拶を受けて始まった旅は、ロトルアの間欠泉、ワイトモの光る洞窟(土ホタル)、紅葉と青空が映り込むクイーンズタウンの湖面、シープショーで毛を刈られた丸ハダカの羊、マウントクック氷河すれすれのセスナ飛行、オークランドでの柔らかい仔牛肉ステーキなどなど…南北縦断のお楽しみ満載フルコース!しかも当時は直行便がないため往路はシドニー、帰路は香港にも宿泊が必要だったので、5月の連休に掛けたとはいえ2週間連続休暇を申し出た時の上司の一言は「出てきても机がないと思えよ」…海の守護神という美しい貝を持ち帰ったご利益で?何とか無欠勤の永年勤続を達成できた…ありがたきかな!人生。
ボドルムBodrum イスタンブールIstanbul
トルコ南西部のリゾート…といってもボドルムは首都のアンカラよりもアテネに近い位置にあり、イスラム文化圏とはいえ遺跡や街並みもブーゲンビリアも何処となくギリシャ風。小さな地方都市ながら環境問題など様々な国際会議も開かれる土地柄からか魚介のつぼ焼きスープなどローカルフードも洗練されている。更に驚きはテラス席から風で飛ばされて海に落ちた請求書をアッと言う間に長い竿で拾い上げたサービススタッフの瞬間芸!聞けば紙一枚でも世界的観光資源エーゲ海に落とせば罰金を取られるそうだ。中近東とは旧オスマントルコ支配地を中心とするシリア、アフガニスタンからアラビア半島そしてトルコまでの17ヵ国の総称だが、生活スタイルや宗派は千差万別…そしてヨーロッパ文化圏との唯一の接点イスタンブールは新旧市街、宮殿、モスク、教会、絨毯屋、キュウリ売りが混在し…さすがはオリエント急行の終着駅だけあって全てがエキゾチックでカルチャ-ミックス。夜店の食卓で披露される妖艶なベリーダンスにも時空を超越するパワーが溢れている。
上海Shanghai 香港Hong Kong 澳門Macau 台北Taipei
「一つの中国」という怪しげな巨大ドラゴンが大陸を跋扈している。いわゆる代表的な中華料理だけでも北京、上海、広東、潮州の4分類があり、人種も言葉も地域地域で様々、一山越えればそこは外国、違いがあるから文化が生まれ、個性があるから恋愛も楽しい。どこかで見たようなパクリ外観の超高層ビルが林立する上海でも、豫園の趣は類を見ないし、一日中ひたすら蟹の身をほぐす専従スタッフに支えられる小龍包は流石の絶品である。自由貿易で成り立ってきた香港から自由を剥奪したら、夢のような夜景は暗闇に…オーシャンパークの宙を舞うゴンドラは棺桶になってしまう。マカオのカジノは肥え太った共産党の幹部家族で埋め尽くされ、名物エッグタルトはピータンに取って変わられるのか?3000年に及ぶ侵略と征服の歴史から見れば次は海峡を隔てた台湾さえも占領するのが当たり前と思っているのかも知れないが、台北の瑠璃工房の幻想的なグラス作りの技術と、夜市屋台で全員が食べている半生シジミの醤油漬けの味を守るには断固独立を堅持しなければならない!
カプリCapri ナポリNaples
人生一度は訪れたい究極美!カプリ島の青の洞窟Grotta Azzurra…これがレトルトのパスタソースの名前だと思っているのは日本人だけで、世界中から目を疑う色彩の魔術と愛の成就を求めて老若男女が集まる。フェリー乗り場に隣接する発着場でチケットを買って中型連絡船に乗り絶壁に沿って進むと小さな岩アナの前に手漕ぎボートが連なっている。ああ小さな舟で来る人もいるんだ…?と思ったら大間違い!なんと全員が海の上で乗り換えなければならないのだ…しかも別料金!さらにカップルや家族だけで乗るには追加料金まで請求される…しかも場所は海の上だから船頭には逆らえない!と剥れる気持ちは身を縮めて頭を下げて一瞬の波間に洞窟に中に舟が吸い込まれた途端にスーッと消え去ってしまう…何だ!このコバルトブルーの宇宙空間は!そしてボッタクリ船頭の朗々たるカンツォーネの歌声は!負けた…完敗だ…グーの音もでない。さらにホテルグジザナで味わう美食で昇天しそうなったら、帰路はナポリ路上でリモンチェロを飲んで気を静めよう。
ヴェネチア Venezia
地球温暖化が進み南太平洋の島国ツバルは水没の危機に瀕しているが、地中海で最初に消えるのは幾多の水害を繰り返してきたカーニバルで名高いヴェネチアに違いない。洪水と疫病は切っても切れない縁があり、コロナならぬコレラで死んでゆく老人を描いたトーマスマン原作によるビスコンティ名作映画「ベニスに死す」も気になるが、舞台になったリド島には僅か15分で渡れるもののオフシーズンだとレストランも閉まっているので要注意。装飾美を極めるベネチアンガラス工房が連なるムラーノ島へのミニ舟旅もユニークで楽しいが、途中で島全体が墓地と言うサンミケーレを通過する時はスマホの手を止めて静かに黙祷しよう。根っから明るいイタリア人はメディチ家由来の街並みが海の底に沈んでも水面に飛び出したリアルト橋からゴンドラに乗ってリストランテGrand Canalの2階窓でテイクアウトのフルコースを受け取って美食を堪能するだろうが、我々は神楽坂Stefanoのイカ墨リゾットと目の前で泡立てるザバイオーネで夢心地になるしかない!